『おばあちゃんの魚つり』
M・B・ゴフスタイン
落合恵子訳
アテネ堂旦房(一九八〇年)
シンプルで味わいがあって、思わず読む人をにっこりさせてしまう一冊です。
「子どもからおとなまで」と紹介されていますが、誰が読んでも同じように読まれる絵本というわけではありません。
主人公のおばあちゃんは、湖の近くに家か別荘を持ち、ひとり暮らしでも、早起きをして、きちんと朝ごはんを食べるという生活をしています。
趣味と実益を兼ねた魚つりで一日過ごすなんて、誰にでもできることではありません。
この女性は、いかにもアウトドア派という感じではなく、小柄で丸い体型の、どちらかと言えば普通の人に見えます。
ガーデニングやお料理が似合いそうなのに、コイやマスやナマズをつり上げます。
ときには大きなカワカマスを持ち帰ることもあります。
つった魚をきれいにして、バターでこんがり焼いて夕ごはんです。
パンも焼きたて、お茶もきっと熱々です。
ひとりですから、とくに笑ったり怒ったりする様子はありません。
でも、表情はおだやかで、この生活を楽しんでいることがどの場面からも伝わってきます。
みなさんなら、この絵本から何を受け取るでしょう。