ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、韓国などの国では、1970年代に借り入れた負債のほとんどの部分が近代的設備をもつ鉄鋼プラントに投資されましたが、世界的な過剰生産能力のために、現在では利益の出るような操業はできないのです。
これらの設備の多くは国有であり、これが生み出す雇用・所得・獲得外貨は喉から手が出るほど欲しいものばかり。
なので、第三世界政府はその操業を助成し、生産した鉄を採算割れで先進諸国に売りさばいています。
1983年に初めて、第三世界はアメリカでの外国産鉄鋼の主な供給者となり、日本とヨーロッパを凌ぎました。
発展途上国と先進工業国のどちらでも、助成を受けている鉄鋼会社はアメリカや世界市場でシェアを伸ばし、助成を受けていないアメリカの鉄鋼会社は減産と労働者の解雇を強いられました。
同様に、銅の世界市場が1981年と82年に急激に不況に落ち込んだとき、チリの国営企業は銅の
販売について助成を受けていましたが、この国営鉱山は不安定な労働力を雇用しつづけるために生産をつづけていました。
しかし、チリのこのような行為はアメリカの製銅産業をほとんど恐慌時の操業水準に追い込み、アメリカ企業と労働者は、世界全体の銅販売減少分とその結果生じる失業のほとんどすべてを背負い込むハメになったのです。
歯止めのかからない人口成長と弱体な開発能力が相まって、第三世界の政府は現在の職と企業を保護するといういプレッシャーをかけられ続けるでしょう。
こういうプレッシャーは、1970年代にこれらの国々がこしらえた莫大な負債によってますます強められています。
当時、これらの国は成長しはじめた人口のニーズに応えるために、経済規模を拡大しようと図っていました。
第三世界の累積債務問題は、ラテン・アメリカに最も厳しい衝撃を与えています。
ここでは対外累積債務は1986年初頭に3600億ドルに達しています。
これらのほとんどはブラジル(1000億ドル)、メキシコ(970億ドル)、アルゼンチン(500億ドル)、ベネズエラ(35億ドル)に集中していました。
雇用確保と債務の返済のために、発展途上国は輸入を制限し、輸出に補助金を出し、外国からの投資を厳しく規制しています。
鉄鋼、製銅産業は、そういった行為が先進国世界の労働者や企業をどれほど脅かしているかをはっきりと示しています。