通常、都市化によって基本的なサービスは手に入りやすくなるものです。
しかし、最近の移住はあまりにも大量で、ほとんどの都市で働き口、居住設備、水道、ご処理、交通、教育、医療を提供する都市機能がパンクしてしまっているのです。
多くの第三世界の都市では、半数以上の人々がスラムや非合法な無断居住地で段ボールや木、スクラップ金属で作ったバラック住宅に住んでいます。
さらに世界銀行は、発展途上世界の都市部に住む極貧家庭が、1980年から2000年までの間に倍になるだろう、と見込んでいました。
これらの多くの都市では犯罪がはびこっています。
ギャラップによれば、リオデジャネイロの住民10人につき、4人が犯罪の犠牲者になったといいます。
1400万人以上の人口をもつ都市、サンパウロでは、犯罪がいちばんの問題だということが住民の意識となっています。
実際、この問題は深刻で、集団による犯罪者へのリンチが日常茶飯事になっているのです。
ラテン・アメリカの人口は、3分の2が都市であふれかえっており、ここほど圧倒的な都市化が進んでいる所はないでしょう。
メキシコ・シティーの爆発的な人口増加は、この地域で起きている都市化の不気味な速さを示しています。
1960年に住民500万人だった、メキシコ・シティーは、1985年までに推定800万人に膨れ上がりました。
2000年までに、この都市は人口3000万人以上をかかえる世界最大の都市になると見られていました。
現在のメキシコ・シティーの人口増加はすでに見積りを超えており、不安材料となっています。
メキシ・シティーの人口動態の成り行きと同じことが、ラテンアメリカの他の都市集中にも起きています。
2000年までに、サンパウロの住民は2600万人になると見込まれていましたし、リオデジャネイロでは1900万人、ブエノスアイレスとリマではそれぞれ1000万人と推定されています。
商業銀行、国際通貨基金および他の国際的融資機関との累積債務の繰り延べ協定交渉の一部として、発展途上国は広範な輸入制限を行っています。
しかし、これもアメリカの雇用が失われる原因なのです。
メキシコは国家財政赤字を単年度内に半減し、1981~83年の間、輸入を3分の2も切り詰めました。
ラテン・アメリカ全体でも、主な国々は生活水準を切り下げ、政治的経済的不安定という危険をあえて高めてきました。
このような耐乏は、必然的に先進工業国の経済をいためつけます。
1982~83年のアメリカの対ラテン・アメリカ輸出の急減は、アメリカ国内の職を約40万も失わせたのです。
発展途上国が充分な働き口を用意できないので、これらの人口は移動をはじめています。
過去20年以上にわたって、数億人の人々が働き口を求めて田舎を離れ、発展途上世界の過密都市にやってきたのです。
この大量移民の量は、空前の大きさになりました。
たとえば1950年には世界の5つの都市が人口500万人を超え、そのうち発展途上世界にあるのはブエノスアイレスただ1つでした。
2000年には、52の都市が人口500万人を超えたのですが、そのうち40は発展途上世界の都市なのです。
1984年の最も人口過密な10都市のうち、7つは第三世界の都市でした。
ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、韓国などの国では、1970年代に借り入れた負債のほとんどの部分が近代的設備をもつ鉄鋼プラントに投資されましたが、世界的な過剰生産能力のために、現在では利益の出るような操業はできないのです。
これらの設備の多くは国有であり、これが生み出す雇用・所得・獲得外貨は喉から手が出るほど欲しいものばかり。
なので、第三世界政府はその操業を助成し、生産した鉄を採算割れで先進諸国に売りさばいています。
1983年に初めて、第三世界はアメリカでの外国産鉄鋼の主な供給者となり、日本とヨーロッパを凌ぎました。
発展途上国と先進工業国のどちらでも、助成を受けている鉄鋼会社はアメリカや世界市場でシェアを伸ばし、助成を受けていないアメリカの鉄鋼会社は減産と労働者の解雇を強いられました。
同様に、銅の世界市場が1981年と82年に急激に不況に落ち込んだとき、チリの国営企業は銅の
販売について助成を受けていましたが、この国営鉱山は不安定な労働力を雇用しつづけるために生産をつづけていました。
しかし、チリのこのような行為はアメリカの製銅産業をほとんど恐慌時の操業水準に追い込み、アメリカ企業と労働者は、世界全体の銅販売減少分とその結果生じる失業のほとんどすべてを背負い込むハメになったのです。
歯止めのかからない人口成長と弱体な開発能力が相まって、第三世界の政府は現在の職と企業を保護するといういプレッシャーをかけられ続けるでしょう。
こういうプレッシャーは、1970年代にこれらの国々がこしらえた莫大な負債によってますます強められています。
当時、これらの国は成長しはじめた人口のニーズに応えるために、経済規模を拡大しようと図っていました。
第三世界の累積債務問題は、ラテン・アメリカに最も厳しい衝撃を与えています。
ここでは対外累積債務は1986年初頭に3600億ドルに達しています。
これらのほとんどはブラジル(1000億ドル)、メキシコ(970億ドル)、アルゼンチン(500億ドル)、ベネズエラ(35億ドル)に集中していました。
雇用確保と債務の返済のために、発展途上国は輸入を制限し、輸出に補助金を出し、外国からの投資を厳しく規制しています。
鉄鋼、製銅産業は、そういった行為が先進国世界の労働者や企業をどれほど脅かしているかをはっきりと示しています。
ほとんどすべての発展途上国の国民は、職についてはお先まっ暗な見通しに直面しています。
実際、もし第三世界が、目の前に横たわるこの恐るべき雇用創出・・・(次の35年間に10億の新しい職)に挑戦せざるをえないとすれば、現在アメリカ・日本・ヨーロッパに存在するすべての職を合わせたものの、4倍の数の職を創り出さねばならないのです。
ほとんどの発展途上国は、このような職を創る能力を持っていません。
これら諸国は目前のこの任務に必要な基礎的、経済的インストラクチャー、公共事業、資本、技術、教育を受けた労働者、学校、公共部門・民間部門の双方に必要な基本的な管理ノウハウを欠いています。
さらに、先進工業国にかりにより多くの援助を申し出る用意があったとしても、近い将来このような発展のためのインフラストラクチャーを創り上げることは、ほとんどの国にとって不可能なことです。